映画の話がしたいです。

絶妙に観たくなくなるような映画レビューを目指しています。

 『ジョーカー』(2019)の最終予告が出たけど弱者男性の話だったら嫌だなぁ….

ここ最近イヤなニュースがめちゃくちゃ多いじゃないですか。小さい子狙った通り魔とか放火とかそういうのって目に入るだけでメンタルゴリゴリ削られるんですよ。

友達とかと話してると単純に「凄惨な事件だったね~~ 犯人マジでヤバいヤツっしょ~~」 みたいな括りで軽くオチつけられるんですけどアタイは(ホントにそうなのか?)っていつも思ってしまうのよね。その場では言えないけど。

別に加害者のことを庇う訳じゃないんだけど、最近の目立つ事件、 そこそこ独身の中年男性が出てくるじゃないですか。独身で~ 孤独で~ 社会から孤立してて~~  みたいな背景を延々とワイドショーでやっててソレを学者さんとか芸人さんとかが色々言ってるけど、 外野で考察してる人ってだいたい孤独じゃないので「 痛ましい事件でしたね😢 では続いてインスタ映えする原宿スポットです😋」 みたいにめちゃくちゃ素早く切り替えていくから怖い。 全員その速度でスイッチ出来ると思うなよ……!!

ツイッターとか見ててもそんな事件起こすのは頭のおかしい人間だけだろみたいなことを平気で言ってるヤツがいるけど実際問題50歳くらいまで鬱屈した生活送ってたらどんな正常な人でもおかしくなるだろ。なりませんか?

まあ、50までずっと孤独とまではいかなくとも病気でもなんでもして孤立したら数年で頭おかしくなりませんか?誰しも加害者になってしまうかもしれないのに自分には全く関係な いみたいなテイで話してるヤツはタクシードライバー観たことないのか??

って思ったけど普通に生きていたらそういうモノホンの弱者をそもそも目の当たりにする機会とかないから(俺も無いし) 想像力が行き届かないのも仕方ねぇよなぁ~。 ていうかそもそも社会的弱者になってみないと自分が弱者になるなんてこと想像出来ないよね~なんてことをぼんやり考えていたら弱者男性たるワードがバズってたんですよ。 弱者男性については下のリンクを流し読みしてもらえれば良いんですけど、要はキモくて金の無いおっさん( 自分が弱いがゆえに女性に嫌悪感を抱く男性のこと。フェミニズムジェンダーフリーを悪しき思想として批判する。) らしいんですけれど、いくらなんでも言いすぎじゃありませんか? ?

nlab.itmedia.co.jp

blog.goo.ne.jp


弱者男性でブログ漁るとこの人拗らせてるな~ とか流石にソレは被害妄想なのでは?みたいな内容が多いけど、 それはまだアタシがそんなに歳くってないせいもあって、 自分がもしこのままオッさんになったらヤバい弱者男性になってしまうかも……みたいな危惧は常にあるんですよ。 ていうかアタシだけじゃなくて今の20代がオッさんになる10年後20年後って、 普通に考えて寂しくてお金の無いオッさんがもっと増えるんじゃないのかしら。

なんて話を友達にしたいんだけど、 なかなかみんな自分が弱者男性になりうるかもしれないってことを想像しないのよね~。お前のキモいライン、 まだ若いから許されてるだけだぞ。

 

 

それよりも、遂に『ジョーカー』の最終予告が出てしまいましたね。

youtu.be

 

 

The Guess WhoのLaughing(1969年) が印象的なティザーから随分と待たされた気がします。 BGMの歌詞もさることながら、佇むホアキン・ フェニックスに重なるようにしてクルクル重なるピエロが幻想的で 、満面の笑みを見せた瞬間ふと真顔に戻るって一体どういうことなんですか……

www.instagram.com

 

theriver.jp

 


監督兼脚本は『ハングオーバー!』シリーズのトッド・ フィリップス、共同脚本で『8 mile』のスコット・シルバー。 脇にはロバートデニーロを……

人間の(酒を飲んでの)転がり落ち方も(ドン底からの) 這い上がり方も網羅した両名が一体どんな映画を作るのかとティザー公開当時は期待に胸を踊らせていました。

今作は現在進行形のDCEU( 最近のマーベル映画みたいに他作品のヒーローが共演するヤツ) とは別枠で取り扱われるようで、これまでの話(主にスーサイドスクワッド)とは関連がありません。

DC映画はちょこちょこ予告の完成度が高すぎて本編ガッカリ現象を巻き起こすので、過度な期待はしないようにと律していたのですが次々と出る新たな情報を前に流石に昂ぶる気持ちを抑えられないのが実情です。

youtu.be

www.gizmodo.jp

 


どうやら今作はジョーカーのオリジン( どうして普通の男がジョーカーになってしまったのか) の話のようで、よくあるスーパーヒーロー映画というよりかはジメっとした 犯罪映画になりそうな予感。 更にトッド監督はなんとロバートデニーロ主演の『キング・オブ・コメディ』 という映画も参考にしているとのこと。キングオブコメディ、 簡単に説明するとコメディアンになりたい妄想癖の社会から孤立したキモいおっさん(ロバートデニーロ)が憧れの有名司会者と出会ってどんどん狂っていく映画なんですが 、 主人公の現実と妄想の乖離が大きすぎて観ているこっちとしてはもはやホラーなんですよ。 詳しくはリンク先をどうぞ。

note.mu


そんな『キング・オブ・コメディ』を参考にした『ジョーカー』 劇中のロバートデニーロの配役が有名トークショーの名物司会者で、ホアキン・ フェニックス扮する孤独なピエロがジョーカーになっていくって話は流石にちょっと悪趣味過ぎないかとも思ったんですけどジョーカーのオリジンならそれくらいやって欲しいって気持ちはやっぱりありますよね?

そもそもジョーカーって化学薬品で漂白されて真っ白になってしまったとか元は売れないコメディアンだったらしいとかフワッとした設定はあるものの、映画化される度に強盗に殺されるウェイン夫妻のくだりとか、毎回毎回 大いなる力には大いなる責任が伴うと言って死ぬベンおじさんとか、こっちとしてはもうわかってるから飛ばしてくれ~と思うようなオリジンがないんですよね。

ティムバートン版バットマンではジャック・ ニコルソン扮するマフィアが薬品タンクに落ちて真っ白に漂白、 銃撃の傷で口元が引きつってジョーカーになったし、 ヒースレジャー版バットマンはそもそも正体不明のオッさんで恐らくは口元の傷が出来た事件がオリジンに当たるんだろうけどその由来は話す度にコロコロ変わるのでよくわからん、 スーサイドスクワッドに至ってはもはやジョーカーの説明は要らないよねとばかりに話が進む始末。 確かにアメコミの悪役じゃめちゃくちゃ有名だけど俺たちはあんな彼女のために頑張るマンなジョーカーは見たくなかったんですよ。

 

だからジョーカーを主役において、一から映画をつくるっていうのはかなり珍しいことなんですよね。

監督もそのことについては既に言及済みで、 今作はこれまでの原作コミックとは違うもので、アーサー・ フレックという男がジョーカーになる物語だと断言しています。

theriver.jp

「コミックは意識しませんでした。 ファンは怒るかもしれませんけど。我々は、 ジョーカーがどのように出来上がったのか、 自分たちのバージョンで書きました。これが面白いところで、ジョ ーカーをやるのではなく、 この男がジョーカーになる物語をやるんです。」

更には出演者であるブライアン・タイリー・ヘンリー( 役名未発表) も今作がこれまでとは違った作品になると述べています。

theriver.jp

「今回はまさしくオリジン・ストーリーですからね。 悪人は悪人として生まれてくるのではなく、 あとからそうなっていくもの。人間への信頼を諦めるような出来事が、彼らの人生には起こるんです。 人間や人類の欠陥に気づいてしまい、 それを正さなくてはいけないと考えるんですよ。」

「彼はなんとか人間の中に希望を見ようとして…ついに壊れてしまう。希望を諦め、生まれ変わらなくてはならなくなります」

重いなぁ~めちゃくちゃ面白そ~~
だってバスの中でちっちゃい子笑わせるような人の良いオッさんが ですよ、社会で孤立してて、だけど母親が言ってた「 どんな時も笑顔で、そして人々を楽しませなさい」という約束は守ってて、 でも段々とそれも難しくなってきて…… それで気が触れて怪物になっていっちゃって……ってめちゃくちゃ悲しいじゃないですか。これは完全に妄想なんですけど、 きっとジョーカーと化したアーサーフレックのことをロバートデニーロ扮するトーク司会者が的外れで無責任に責めるんですよ。 目立ちたがりのピエロだとか同じような環境でも犯罪に手を出さない 人はいる~ とか辛いのはお前だけじゃないとかテレビ画面の向こうで好き勝手に言って、そこでテレビ局にジョーカーがやってきて直接対決、とかだったらめちゃくちゃヤバいな~~。

更にまだ全容はわかりませんが、予告を観る限りではアーサーと彼が想いを寄せるシングルマザーの女性とのロマンスがあるはずなんですけど、キングオブコメディを考慮するとロマンスのほとんどがアーサーの妄想、みたいなオチになるんじゃないんですか??そもそもロマンスが成立しちゃったらジョーカーにならないじゃん。

ヤバいピエロのおっさんつきまとわれるシングルマザー、もしそうだったら嫌過ぎる……

あと予告その1でアーサーに口角上げられている少年がブルースウェインだと言われてるんすけどそれもヤバいよなぁ~。 これがもしウェイン夫妻が亡くなった直後で、人生どん底今にも泣き出しそうなブルースウェイン少年に「どんな時も笑顔で」 なんて言ってアーサーが励ましてしまったのなら、 それはもうノーランバットマンにおけるゴードン刑事の役割を踏襲するもので、 しかもバットマンとジョーカーは対決の運命にあるなんて展開を映画のラストでやられたらもう泣いてしまいますわ。
 
長くなってしまいましたけど、もし『ジョーカー』がタクシードライバーとかキングオブコメディみたいに社会から孤立した男が怪物に変貌していく、みたいな話だったらめちゃくちゃ悲しいし、弱者男性叩いたり存在しないモノとして扱うコメンテーターが『ジョーカー』絶賛してたらとか嫌だなぁ。